Ray(レイ):レイチャールズの半生、涙なしには見れない名作中の名作。

【作品概要】
禁断症状にもがき苦しむ幻覚の中で再会する『あの頃』のまんまの亡母と亡弟。
トラウマとの決別は、同時に麻薬依存への決別でもある。
R&Bの大御所、レイ・チャールズ(Ray Charles)の半生を描いた作品。
公開直前に、レイ本人が亡くなっている。
ジェイミー・フォックスの迫真の演技が話題となり、アカデミー主演男優賞を受賞。

【あらすじ】
子供の頃、病気で失明するも音楽の才能が開花、ピアニスト、シンガーとして順調にキャリアを重ね、全米にその名を知らしめるも、幾多のプレッシャーからヘロインに蝕まれていく。

【スペック】
分類:伝記(ほぼ実話)
音楽ジャンル;ソウル/R&B
公開:2004年(アメリカ)
監督:テイラー・ハックフォード
主演: ジェイミー・フォックス(Jamie Foxx)

【雑感】
私はR&B系の音楽は、それなりに聴いてる方だとは思うんですけど、意外にレイ・チャールズの功績については知りませんでした。そんな私に、改めて彼の偉大さを実感させてくれたという意味で、とても勉強になりました。
とかく伝記物は、史実に足を引っ張られ説明的になりがちで、有名なエピソードを繋げたような構成に、なんとなく入り込めないものを感じることも多々あります。この作品に於いてもそういう傾向は見られるものの、ひとつひとつを丁寧に、特に誇張されることもなく描いてるので、継ぎ接ぎ的だったり嘘くさいような違和感はなかったです。
コールアンドレスポンスを曲に取り入れる、カントリーの曲をカヴァー、ゴスペルのポップ化?・・・と、今じゃ当たり前のことの数々、元はと言えばレイ・チャールズが始めたことだったんですね。

【ここに感動!(ネタバレ注意)】
大人になった今のレイ・チャールズ(なぜか目が見える)。禁断症状にもがき苦しむ幻覚の中で再会する『あの頃』のまんまの亡母と亡弟。トラウマとの決別は、同時に麻薬依存への決別でもある。
ここは泣けました。映画としての表現手法にも共感できる描かれ方だと思います。

【こんな人にお勧め】
どんな人にもお勧めできる大感動ものの名作です。
R&Bミュージックやレイ・チャールズに興味のない人でも、アメリカ音楽シーンの歴史や音楽ビジネスに感心のある人なら、必見でしょう。

【見所】
ジェイミー・フォックスもさることながら、子供時代を演じる子役も素晴らしい。母親役も!
幼少時代のレイが徐々に視力を失うシーン。このシーンに限らず『母の愛』には涙が止まりませんでした。

【独断的注目ポイント】
おそらくは当時のスタジオを可能な限り忠実に再現してると思われる、レコーディングシーンも多く興味深いです。若き日のアーメット・アーティガン(プロデューサー)やトム・ダウト(エンジニア)といった人たちの仕事ぶりの描写にも、思わず身を乗り出しました。
そうそう、トム・ダウトに関しては『『いとしのレイラをミックスした男』なんていうドキュメンタリー映画もあるんですね、知らなかった・・・。

【難点?】
ハイライトシーンと言えるシーケンスが多すぎて、見る方も力が入るものだから、見終わった時ドッと疲れます。もちろん、とっても贅沢な“難点”ですけど。

【監督について】
テイラー・ハックフォードと言えば「愛と青春の旅立ち」「カリブの熱い夜」などが知られる人。Rayでは、冒頭から徹底的に拘った美しい映像で魅せます。
特に美しさで印象的なのは、辛く悲しい思い出であるはずのレイの子供時代。衝撃のシーンも、燦々と陽が射す長閑な南部らしい日常風景の中に描かれることで、あまりに唐突な悲しい出来事を強く印象付けています。おそらく監督としても、このシーンへのこだわりは相当なものと思われます。
この監督、チャック・ベリーのドキュメンタリーも撮ってるんですね。きっと音楽への思い入れは人一倍強いのでしょう。じゃなければ、こんな映画は撮れないと思います。

【評価】(あくまで個人的な感覚ですので悪しからず)
《涙度数》★★★★★
《笑度数》★・・・・
《総合》★★★★☆

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