アンディ・フレイザー( Andy Fraser 元フリーのベーシスト)の足跡を辿る。

3月16日はアンディ・フレイザー(Andy Fraser)の命日だったそうで、久々にまた彼のことを思い出している。
誰それ?って人もいると思うので、紹介しておきましょう。フリーのベーシストにして、フリーの代表曲の大半を作曲した人。
あ、フリーを知らない人もいるかな、天才シンガー、ポール・ロジャースを擁したイギリスの伝説的ロックバンドですね。フレイザー在籍のフリーは1970年前後の正味2年間くらいしか活動していないんだけど、今でもフリーは別格だ!と語るロックファンは少なくないんですよ。
では、そんなフリーの代表曲を聴いて欲しい。

どうですか!この重たいビートのカッコイこと。
なんか、スカスカじゃないの…ってな声も聞こえてきそうだけど、まあ確かに今のサウンドじゃない。でも、このシンプルで骨太なサウンドこそが、裸のロックというか、むき出しのスピリットなんですよ。
フレイザーのベースラインもビート感も独特ですね。

レッド・ツェッペリン同様、誰一人違ってもこのサウンドにはならないであろう、鉄壁の4人組。
しかし、フレイザーはフリーを脱退してしまう….。(バンドは、日本人の山内テツを後任のベーシストに迎えあと数年存続)
フリーを脱退したフレイザーは、凄腕ギタリストのクリス・スペディングとシャークス(SHARKS)というバンドを結成。
そのファーストアルバムがこれ。

ここでも大半の曲をフレイザーが作曲しているせいか、なんか曲がフリーの焼き直しっぽくて、どうなんでしょ。特に一曲目なんて、フリーで大ヒットしたオール・ライト・ナウ路線を狙ったんでしょうね。
けっこう良いんだけど、いかんせんフリーっぽすぎる。ボーカルのスニップスはダミ声が個性的なシンガーだけど、ポール・ロジャースほどの魅力はない、と個人的には感じてしまう。
スペディングのギターも、フリーのポール・コゾフほど明確な個性があるわけでもなく、直前に参加していたニュークリアスのようなジャズ・スキルを感じさせるわけでもないプレイ(←まあ、これは個人的な期待とは思う)で、あまりピンと来ず。
まあ、スペディングは後の彼のヒット曲「ギタージャンボリー」で知られるように何でも弾けちゃう人なんだけど。いや、そんな器用貧乏がアダになっているのかな…。
ちなみにシャークスは、何度か再結成して2017年には来日もしている。

しかしフレイザーは、そのシャークスも1枚のアルバムを制作したのち脱退してしまう。

そして今度は、自らボーカルも務めるアンディ・フレイザー・バンド(Andy Fraser Band)を結成。
このバンドも、曲はやっぱりフリーっぽいんだけど、ギタリスト不在で、エレピが活躍する当時としては珍しいサウンド。フリーとの差別化を図ったんだろうな。

ベースペダルの併用で、フレイザーのベースにギターの役割を負わせているのも面白い。
曲は悪くないし、これはもっと再評価して良いアルバムのようにも思うが、やぱりエレピはしっくりきてないかな。もうちょっと歪ませるとかすれば良かったのかも。また、何曲かはオルガンを使っても良かったのでは。
それと、カウンターラインとしてのベースがペダルのため単調なのも、編成的に無理があったように感じてしまう。
フレイザーのボーカルも、けっこう頑張ってるんだけど、ど〜してもポール・ロジャースだったら….と思ってしまう。
聞き手にそう思わせてしまうところが、フレイザーに付いて回った呪縛だったのかもしれない。

その後も、大きな話題となることはなかったが、音楽活動はずっと続けていたようだ。2000年以降の演奏もYouTubeを探せば見ることができるが、なんとなく寂しくなるようなものが大半だ。
作曲印税でそれなりに収入はあったのかも知れないけどね。
2013年のライブ映像があった。フリーの代表曲のひとつ、ミスター・ビッグを演ってます。
なんと、ギターはクリス・スペディング?

そして2015年にフレイザーは62歳の若さで亡くなっている。
それが死因かはわからないが、エイズを患っていたということだ。

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