スクリッティ・ポリティ、80年代を代表するそのサウンドは、未だ色褪せず。

1980年代当時、時代の最先端だったような音楽を今改めて聴くと、とてつもなく古臭く感じることが少なくありません。特にスネアのゲートエコー(※1)とか、ボブ・クリアマウンテンに代表されるリヴァーブ(※2)とか。シモンズ(※3)とか、オーケストラヒット(※4)とか、FM音源のDX7(※5)に代表されるデジタルシンセ・サウンドとか。

スクリッティ・ポリッティのパーフェクトウェイ。

これは、そんな時代を代表する一曲でしょう。
レコーディングにはDX7が活躍したらしく、クールでワイドレンジなシンセサウンドが全面的に響き渡ります。
ドラムも大胆にゲートエコーなどエフェクトが掛けられ、歯切れの良い16ビートを奏でています。
さらにリズム・ギターも加わった複雑なリフ(※6)が、アレンジの基本となっています。
この曲のインパクトは、新しもの好きなリスナー、プロ・アマ問わずミュージシャン、さらには音楽業界的にも大きいものでした。

私も当時、MSXパソコン(※7)のFM音源を駆使して、このサウンドに挑戦したものでした。
聴いての通り、まさに“あの時代”の音ですけど、それほど『古臭ぇ~!』って感じに思わないのは、あまりに高い完成度ゆえ、ってことでしょうか。
初めて聴かれた人が、それほど新しいサウンドと思わなかったとしても、無理もありません。その後のあらゆるジャンルの音楽に与えた影響は計り知れませんから。

ジャズ界の巨匠、マイルス・デイヴィスも晩年にこの曲を取り上げています。
マーカス・ミラーがプロデュースしたアルバム『Tutu』でスタジオ・レコーディングされた後も、ライブに於いて頻繁に演奏されているので、マイルス自身もお気に入りだったのでしょう。

スクリッティ・ポリティの曲、他にも紹介したいと思います。
ミディアムスローなナンバー、オー・パティ。これも懐かしい!名曲ですね。

数年を経て発表された次作『プロヴィジョン』は、前作ほどのインパクトはないものの、派手さが後退した分、より洗練されたサウンドになったと思います。
いい曲多いし、個人的にはかなり聴いた一枚ですが、スクリッティ・ポリティは、一旦ここで活動休止となってしまいました。

※1:ゲートエコー
主にスネアドラムに付加された残響を途中でスパッとぶち切る、人工的なサウンド。

※2:リヴァーブ
残響のこと。デジタル機材が発展する前は、鉄板やスプリングを共鳴させたりエコールームで再生した音を拾ってミックスするなどして付加された。

※3:シモンズ
ドラム型シンセサイザーの代表的機種。多角形のセンサーが見た目的にも印象的。

※4:オーケストラヒット
フェアライトなどのコンピュータ搭載キーボードで、フルオーケストラサウンドが出せるようになり、オーケストラが『ジャン!』と、全員で奏でるようなスケールの大きいサウンドがアクセント的に使われた。

※5:DX7
ヤマハのデジタルシンセサイザー。FM音源というそれまでのシンセでは出せなかった多彩な音色を作ることができた。デジタルサウンドの代名詞フェアライトCMIやシンクラヴィアが1千万円以上するのに対し、DX7はサンプリング機能などは無いものの20万円程度とアマチュアでも手の届く価格であった。

※6:リフ
2〜4小節単位で、繰り返される伴奏アレンジ。

※7:MSXパソコン
80年台に、入門機として規格制定された8ビットパソコン。ヤマハ製はFM音源搭載で、アマチュアでもかなり本格的なサウンドをクリエイトすることが可能になった。

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